亡くなったAさんは、ご自宅とその敷地を所有されており、今はBさんだけが、Aさんの遺したご自宅で暮らしています。お子様のCさん達3名は既に親元を離れ、それぞれが自分の生活を送っているので、Aさんの遺したご自宅とその敷地は、必要としていませんでした。このため、Bさん達4名の間では、Bさんが、亡くなったAさんのご自宅とその敷地を相続するのだろうなあ、という雰囲気でした。
しかし、Bさん達4名の間で、このご自宅と敷地を具体的に誰が取得するか話し合うこともなく、不動産の名義を変更しないでいるうちに、平成18年8月10日、Cさんが亡くなってしまいました。
Cさんの相続人は奥様の甲さん、お子様の乙さん、丙さん、丁さんの4名です。
Bさんは、現在お一人で生活をしているご自宅とその敷地を売却し、その売却代金を元に、有料老人ホームに入居することを検討されています。
さて、Bさんが希望通りに、有料老人ホームに入居するためには、どのような手続が必要でしょうか?
この事例では、ご自宅とその敷地の名義は亡くなったAさんのままになっています。
ご自宅を売却し、その売却代金を、Bさんの有料老人ホーム入居費用に充てるためには、Aさんが遺したご自宅とその敷地を、Bさんが単独で相続することが必要です。
Bさん単独に名義を変更する為には、Aさんの直接の相続人であるBさん、Dさん、Eさんだけでなく、Cさんの相続人である甲さん、乙さん、丙さん、丁さんの計7名で遺産分割協議をし、その協議をしたことを証する遺産分割協議書を作成しなければなりません。
ところがこれがなかなか大変なのです。
直接の相続人間ならともかく直接の相続人に更に相続が発生した場合、遺産分割協議をすることは困難なことが多いです。
上記事例でいうと奥様Bさんと長男Cさんのご家族(甲さん、乙さん、丙さん、丁さん)が疎遠である場合、まず連絡を取ること自体困難ですし、連絡が取れたとしても、Bさんが単独でご自宅とその敷地を相続することに反対される等の理由で、遺産分割協議をする事が出来ない場合があります。あまり仲が良くない場合などは、より可能性が高まるでしょう。
当事務所でも、このような相談を受けた経験が過去にあります。
この場合、裁判所の手続きを利用する他ありませんが、裁判所の手続きを利用した場合にはそれなりの時間と費用がかかります。
Aさんが亡くなった直後に遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成して、登記を行っていたなら、こんな事にならなかったのにと後悔しても手遅れです。
この事例では、Aさんが亡くなってから5年以上が経過しています。
相続登記をするには、戸籍上の被相続人と登記簿上の被相続人が同一人であることを証明するため、被相続人の死亡時の本籍入りの住民票又は戸籍の附票が必要となります。
※これらの書面についての詳細は、相続登記の必要書類のページをご覧下さい。
これらの書類の保存期間は5年間ですので、相続開始から長期間放置すると、この証明書を取得することが出来ず、相続登記の必要書類のページに書いてあるように、権利証や不在住・不在籍証明書等の添付が要求されます。この場合法務局によって対応が異なり、名義変更の手続きが遅延したり、困難になる可能性があります。
以上の理由から、相続登記ねっと!では、親族の方が亡くなられた際には、できるだけ早めに相続登記を行われることをお薦めいたします。
この相続登記はお客様ご自身で行うことも勿論可能ですが、 複雑な戸籍の入手が必要になる等、かなり専門的な手続きであることは否めません。
当事務所では相続登記をなさるお客様のお悩みを完全サポートいたします。